【書籍】言語接触: 英語化する日本語から考える「言語とはなにか」

言語接触:

英語化する日本語から考える「言語とはなにか」

嶋田珠巳・斎藤兆史・大津由紀雄 編著

東京大学出版会・376ページ

2019年06月刊行

出版社の紹介HPはこちら: https://www.utp.or.jp/book/b441056.html

 

目次

 

プロローグ(嶋田珠巳)

 1 言語交替が起こる

 2 英語は日本語を脅かすのか

 3 英語が混じる日本語

 4 どこまでの「変化」ならゆるされるのか

 5 本書へのいざない

 

第I部 言語接触を考える基礎――言語接触とはどのようなもので,そもそも言語とはなにか

第1章 言語接触とはなにか(嶋田珠巳)

 1 接触はことばをかえる

 2 言語接触のとらえかた

 3 身近な言語接触

 4 言語接触とその帰結

 5 言語が替わるときに実際に言語に起きていること

 6 接触による言語変化

 7 言語接触が問題になるとき

 8 言語接触研究のおもしろさ

第2章 言語における固有と外来(林 徹)

 1 「コトバ」という言葉の曖昧さ

 2 言語はどこにあるのか?

 3 「コトバ」の多義性の理由

 4 外来語

 5 固有語

 6 まとめ

第3章 人間の言語能力と言語多様性――言語に向き合う視点(上野善道)

 はじめに

 1 きっかけ

 2 記述の視点

 3 歴史・比較研究の視点から

 4 言語の保存復興に関連して

 

第II部 日本語の歴史を考える視点――日本語にもある,さまざまな出会いの経験.そこにある「言語接触」とは

第4章 日本語と漢語・漢文(遊佐 昇)

 はじめに

 1 漢語って中国語

 2 日本語の漢語との接触

 3 中国の言語の統一

 4 日本への漢字の伝来

 5 漢字の学問

 6 ことばとしての漢語――江戸期の接触・唐話

 7 中国における中世口語の発見とその展開

第5章 近代日本の国語政策(安田敏朗)

 1 はじめに――国語政策・国語・言語接触

 2 言語接触と言語不通――青田節『方言改良論』から

 3 国語政策概観――漢字制限・かなづかい・標準語

 4 未完の国語政策――村上広之を例に

 5 おわりに

第6章 日本語の現代的諸相(真田信治)

 1 はじめに――日本語のドメイン

 2 英語の特権化

 3 「言語」と「方言」

 4 方言の格上げ

 5 地域語における中間的スタイルの形成

 6 おわりに――「手話言語」に触れて

 

第III部 文化の生態系を考える視点――言語は人々の生活においてどのような機能を担っているのか

第7章 言語接触からみた琉球語――琉球語の多様性の喪失(狩俣繁久)

 1 琉球列島における言語接触

 2 琉球語の多様性

 3 琉球語における言語接触

 4 近代以降の言語接触

 5 しまくとぅばの継承

 6 新たな言語衝突――多様性の危機

 7 多様性の維持

 8 言語研究者の仕事

第8章 文化(生態系)を映しだす言語の〈かたち〉(宮岡伯人)

 1 言語の〈かたち〉への注目

 2 言語と「環境」のあいだ

 3 環境適応としての文化,そして言語

 4 ことばの「カタチ性」

 5 言語の「かたち」からみた言語接触(危機と消滅)

第9章 英語詩の中のアイルランド――シェイマス・ヒーニーの場合(栩木伸明)

 1 植民地支配に起因する二重性

 2 地名は風景と歴史を内包する

 3 『冬を生き抜く』の背景をなす時代と場所

 4 シェイクスピアの問いにジョイスが答えるのはなぜか

 5 ハイブリッドな詩,母語としての英語

 6 「英語はわたしたちのものなのだよ」と亡霊が語る

 7 ローカルなるものに信を置く詩人――結論に代えて

第IV部 日本語の未来を考える視点――英語は日本語の将来にダメージを与えるのか

第10章 英語化する日本語とその未来(斎藤兆史)

 1 言語の乱れは変化か

 2 言語の運用効率

 3 言語の生態系は守れる/守るべきものなのか

 4 言語の急速な変化は「死者たち」との対話を困難にする

 5 日本語の英語化

 6 最近の英語化の傾向

 7 内容語から文へ,そして言語交替へ

 8 日本語の「かいぼり」と保全活動

第11章 外来種論争から考える日本語と英語(岡ノ谷一夫)

 1 科学者としての私と英語をめぐる状況

 2 生物多様性

 3 外来種と生物多様性

 4 生物多様性と環境頑健性

 5 生物多様性と文化多様性

 6 文明の頑健性・脆弱性

 7 地球文明の画一性と英語の寡占化

 8 科学における上位下達な課題設定

 9 言語多様性の積極的維持――多言語主義

第12章 英語侵略に抗うための,ことばの教育(大津由紀雄)

 1 英語狂想曲

 2 学校英語教育の変遷と現状

 3 英語狂想曲状況の行きつくところ

 4 ことばを操る力

 5 素朴言語学

 6 今後への期待

 

エピローグ――この本をまとめるなかで考えたことなど(嶋田珠巳)

 1 世界は英語を選択するのか

 2 言語接触の環境を見るということ

 3 さらに,言語の未来を考えるために

 4 「生態系」のアナロジーと言語多様性

 5 「多様性を守る」ことの難しさ

 6 今後の英語教育をおもう

 7 言語に対する,おもに2つの価値基準「応世」と「伝世」

 8 人にとって言語とはなにか

 9 中国語との接触,英語との接触――日本語の歴史的な流れのなかで

 10 本書のおわりに

 

読書案内

 1 まずはここから

 2 言語学

 3 社会言語学

 4 言語と方言,ことばと暮らし

 5 変わりゆく言語――危機言語,多言語使用,ことばの現在・未来

 6 歴史・文化交流・植民地

 7 ことばと人の営み――文学,教育

 8 心・脳・進化

 9 ことばの教養

 
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